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“われもこう”の想い その1「小さなわれもこう」

われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい

令和2年6月3日 その1「小さなわれもこう」

昨日、東京アラートが発動され、レインボーブリッジと都庁が、闇夜に不気味な赤い姿を浮かび上がらせました。私たちの目に見えない新型コロナウイルスの感染に脅かされ、世界中が動転しています。
でも、私の目の前にいるわれもこう達は、朝から元気で笑顔を見せてくれています。しかし彼らだって、一旦コロナに感染したとなると、笑顔も消え失せるでしょう。

一度しかない人生、一つしかない命
大切に育てたい 愛の歌歌いながら

この一瞬は、今、ここにしかありません。この時を充実させることに専念したいと思います。過ぎた過去は変えられません。どうなるかわからない未来を憂いても、今は充実しません。
私にとってこのコロナ禍のお陰で会議が減り、目黒や北千住に行くことも減り、移動時間が浮いただけでもありがたいです。その分、普段からやらなければと思いながらできなかったことに取り組めたことは本当に良かったです。今まで忙しさに追われてできないと言い訳していたことに、取り組み始めることができました。「知的障がい者が、親亡き後も地域で暮らしていくためには、何を身につけておけば良いか」の要素と指導方法をまとめたものが、20年間中途半端でしたが、この間、大分体を成してきました。そろそろ一冊にまとめられそうです。
また、普段は30分取るのがやっとの発音指導にゆったりと取り組め、発音不明瞭で何を言っているかわかりにくかった彼らが、ゆっくりですが構音もしっかりしてきて、人に伝わりやすくなったことは大きいと感じています。身近な単語、色名、身体名称など伝わるように言えるようになり、私が嬉しくて褒めると彼らは、もっと嬉しそうな顔をしてくれ、又来週の発音指導を楽しみにしてくれています。何より自粛で、就労支援室は休むけど、発音指導は来るという彼らの思いを知って、個別で関わる大切さを改めて感じました。
人類は、長い歴史の中で疫病だけでなく、火山の噴火や水害、地震、津波などの災害にあい、その中で何とか工夫をして生き延びてきました。その度に知恵がつき、大脳も発達してきたのではないでしょうか?
今は正に、その時なのだと思います。今のホモサピエンスと言われる人類だけが生き延びてきている大きな理由の一つに、『助け合った』ということが挙げられています。ホモサピエンスよりも、力も強く、脳容量も大きかったネアンデルタールが、家族単位で動き、助け合わず滅んでいき、洞窟に何百人と身を寄せ合って助け合って生きたホモサピエンスだけが、現代まで絶滅せずに生きているという事実を忘れてはならないと思います。
弱いからこそ、助け合って、個体では強い者より生き残ることができたという事実から、みんなで励まし合い、力を合わせてこの難局を乗り切ることができるように、小さなわれもこうが何をしたら良いか、しっかり考えていきたいと思います。

吉田 由紀子

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