われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい
令和6年5月 2日 その87「自己決定支援~自分で決める力~」
知的障がいがあると、どう対応していいかわからず、何かと支援を受けることが多いです。
周りの人、特にお母さんが、本人にはわからないだろう、できないだろうと子供の頃からやってあげてしまうことが多く、自分では、できないまま、大人になってしまう人も多いです。
三月の末、毎年行っている苺狩りに初めて参加した人がいました。苺狩りは、初めてとのことで、とても楽しみにしていました。
苺園に着いて、係の人から説明がありました。
「苺が全部赤くなっている物を取ってください。茎の近くがまだ青いものは取らないで下さい。」又、「実のそばで茎を短く切ってください。まだ、つぼみや小さい実を切らないでください」
と実物まで見せて説明がありました。
その後、グループごとに苺園の中を巡りながら、赤く熟した苺を探して口に入れては、その美味しさを味わっていました。
ところが、ふと気がつくと、真っ白な苺をかじっている人がいるではありませんか。
「どうして、赤くない苺をとってるの?」と聞くと、「いちご狩りが初めてで、わからなかった。白くてきれいだから」と言うではありませんか。
思わず、さっきの説明を聞いていなかったの?と思ったのですが、全体の説明では何のことか分からなかったようです。個別に、丁寧に教えてあげないといけなかったようです。
今年の今度の誕生日に50歳になる彼女は、他にも未経験なことが多いです。障がいの程度は、4度で、知的障がいとしては、一番軽度なのですが、いまだに、一人でどこかへ出かけることが難しく、誰かがついていかなければならないことが多いです。苺狩りは、初めてでも、苺は食べた経験があるはずですが、自分で苺を摘んで食べた経験がないため、わからなかったようです。
又、苺だけしっかり取るよう説明があったにも関わらず、下の写真のように取ってしまった人もいました。
「指示を聞いてその通り行動する」というのは、就労して、社会の中で暮らしていく時には、最低限の力だと感じます。指示された範囲内で、自己決定して行動していくことの難しさをつくづく感じます。
とはいえ、彼らは、苺狩りをとても楽しんでいました。最高130個食べたという人もいました。
その後の昼食も楽しみで、貸し切りの食堂で定食をみんなで食べました。その後の班行動でも、「秩父に来たら、みそポテト」と、食べる楽しさを追求している班が多かったです。
「食べることは、生きること」ー彼らを見ていると、実感します。
そんな場面でも、自分の食べたい物を決められず、イライラしてしまい、結局、みんなが食べる時に間に合わず、集合時間が迫ってきてから食べたくなり、大騒ぎしてしまった人もいました。
みんなが食べる時に、一緒に注文する物を、自己決定する力も大切だとつくづく感じました。
普段から、家族で外食する時に、自分で食べたい物を自分で決めて注文する力を育てておくことも、非常に大切なことであると感じました。
時間がないと、つい、ご家族が決めてしまって、本人が考えたり、決定したりする機会が少ないと、集団行動する時に全体のペースに合わせられず、パニックになり、困ってしまいます。
どんなに小さなことでも、「自己決定」していくことの大切さを、彼らと行動していて感じました。