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“われもこう”の想い その80「障がい者を納税者に」

われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい

令和5年12月22日 その80「障がい者を納税者に」

「障がい者を納税者に」このあかねの会の理念は、社会福祉法人化した平成18年から、掲げてきました。
ポプラ社の月刊雑誌『プシコ』にも紹介されました。

『月間プシコ』2007年9月号(ポプラ社ウェブサイトより)

しかし、障がい者を雇用して下さる企業からは「障がい者を納税者に」という理念は、歓迎的に受け入れられましたが、重度の障がいのある方の親御さんからは、あまり歓迎されませんでした。
障がいのために、働くことができないのに、「働く」ことを要求されている様に感じたと言われました。
でも、私が「障がい者を納税者に」というフレーズに込めた想いは、障がいがあっても、その人にできることで働き、社会の一員として誰かのために役立っているという想いを持って堂々と生きてほしいと願ったからです。なかなか、その意図は通じにくいと感じてきました。
では、本人たちはどうでしょうか?余暇支援部の活動の一つに「社会学習」があります。毎月、第二土曜日の夜、開催しています。年間で申し込んでもらい、30〜40名位います。
毎年、自分たちで学びたい内容を、話し合い、計画を立てています。
今まで、お金の使い方や、社会のマナー、年賀状の書き方、母の日、父の日の取り組みなど、取り上げてきました。消費税についても、今までにも何回も取り上げ、消費税の計算の仕方も覚えてもらおうとしてきました。
今回は、消費税だけではなく、税金そのものについて、知ってもらおうと思い、教材も作りました。
何故、税金というものがあるのか?
税金は何のために使われているのか?
そこから知ってほしいと思いました。

税金ってなあに?

自分たちでも、税金が何に使われているのか考えてもらいました。
社会学習は、今年度は34名いて、8〜9割の人が一般就労しています。
税金の話をすると、「給料から〇〇円引かれています」とすぐ答える人もいました。
グループホームを経て、サテライトで一人暮らしに向けて取り組んでいる人は、「自分たちのもらっている障害年金も税金からもらっている」と、気がついて発言してくれた人もいました。
公共の(そこに住んでいるみんなのための施設や、そのために働いてくれている人)というのが、ちょっとわかりにくい人もいて、自分の会社名をあげている人もいました。みんなのために(公共の)という意味と、一部の利益のために機能している会社組織との違いを理解するのは、難しい様でした。
でも、消防署や、警察、学校、図書館、体育館など具体的に上がってくると、おぼろげながら、「みんなのために」使われる施設や、そこで働いている人が、みんなから集めた税金でみんなのために仕事をしてくれるということが、段々、理解できてきました。
次に税金の種類についても知ってもらおうと思い話しました。

税金の種類

こんなにいっぱいある!難しい!と言いながらも、「タバコやお酒にも税金がかかっているのか?」と、興味を持って取り組んでくれました。
最後に、消費税の計算の仕方も学びました。お店によっては、食品類が8%ということを知っている人もいて驚きました。
とりあえず、10%の計算の仕方を覚えてもらいました。ほとんどの人がスマホを持っているので、計算機機能をよく使いこなし、10%が最後の0を取るということがわかれば、殆どの人が、自力で答えを出せていました。

消費税

最後に感想を書いてもらいました。
彼ららしい素直で率直な意見、感想が出てきて、彼らは、この社会を支える立派な納税者であり、社会の一員であると再認識しました。

「いろいろな税金があるんだと思いました。税金のおかげでたくさんの人が安心できるとわかりました。」

「生きてるってお金かかってたいへん。いっそのこと、ネコになって楽に生きたい。」

「税金をはらいたいです。いっぱいはたらいて、税金はらいます。」

「あかねの会の理念に、がんばって働いて税金払います」

「税金は必ずはらいましょう。」

「がんばって働いて、税金をいっぱいはらいたいです。」

彼らの素直な反応に目頭が熱くなりました。脱税する人に聞かせたい言葉です。

今後ともあかねの会では、「障がい者を納税者に」の理念を掲げ、一人でも多くの人が、社会の一員として働ける様に応援していきたいと再認識しました。
勿論、会社という組織で働けなくても、一人の消費者として、消費税を払ってこの社会にいる訳ですから、公助を受けながらも、自助したり、共助されたりしながら、社会の一員として生きているという誇りと自覚を持って生きていける様に、今後とも支えていきたいと思います。

 

吉田 由紀子

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