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“われもこう”の想い その38「いちご狩り」

われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい

令和4年4月19日 その38「いちご狩り」

コロナでいろいろな行事が今まで通り出来なくなって満2年が経ちます。
今年もいちご狩りの季節がやって来て、彼らは去年のいちご狩りで、イチゴを何個食べたとか、楽しそうに思い出話をいろいろ話題にしています。
社会的対応も一年毎に変化はして来ていますが、新規感染者数は東京都でもまだまだ数千人という日が毎日続いています。

今年も、バスで皆が乗って行く密集は避けなければと、昨年同様、3日間に分けて電車で出かけました。
私のグループは、4人の女性の利用者さんで、顔を合わせると喋りたくて仕方がない人たちです。電車の中では、おしゃべりはせず、吊り革や手すりにもつかまらない様にと注意してから乗車したのですが、座席に座る時に手すりにすぐ捕まってしまうSさん、すぐに大声で話し出すKさんと注意をし続けなければなりませんでした。いつもは元気なSさんが座るとすぐに寝てしまい、聞くと昨日の夜、認知症気味のお母さんが夜中まで騒いでいて眠れなかったとのこと。

私の中学時代の卒業生も40代にさしかかり、本人の仕事、生活のことに加え、親御さんの介護のことが気にかかる年齢になったと実感させられました。

現地に着いて、各グループに分かれ、いちご狩り開始。去年よりはルールも少し緩やかになり、「触ったイチゴは必ず食べること」ということだったので、自分達で摘んでもらうことにしました。

去年は、手袋をした右手で摘んだら、左手で食べることというルールだったので、支援員が摘んで、皆には食べてもらうだけにしました。今年は自分で摘めるということで、イチゴを狙う目つきから違っていました。

でも、観察していると、触ってしまったイチゴを食べずに、他のイチゴをあれこれ触ってしまうKさん。注意をしながら、目を離せませんでした。手にしてみたら、まだ全部が赤くなってないとか、黒い所があったりして、手を離してしまう様でした。本能的に、「これは美味しそうではない」と感じるのだなと思いました。正しい判断ではあるのですが、コロナ禍においては許されないルールです。20代男性のある利用者さんは、あっという間に「100個食べた!」と言いながら快進撃。私も負けじと100個は食べたいと頑張りましたが、制限時間が30分なので、100個が限界でした。

食べるだけではなく、イチゴの花にも気がついてもらおうと話しかけたら、花にも気が付いてくれたのですが、その側から「花よりイチゴ」とチャチを入れる女子もいて大笑い。

駅からイチゴ園まで30分程度歩きました。帰りは次の駅まで歩き、集合、解散までで、15000歩ほど歩きました。
昼食後、入間川に出て河原でのんびりしようとしたら、展望台の案内を見て、あそこへ行ってみたいと全員が言い出して、行ってみることにしました。展望台へ向かう道は登り道で、女子の利用者さんが、お腹がいっぱいということもあり遅れそうになると、頼もしくKさんが引っ張ってくれました。

助け合いながら展望台に到着して、街並みの景色を楽しみました。

飯能 美杉台展望台

途中、お化けが出るという神社を通りかかると、男子全員が行ってみたいと言うので、女子は別行動で展望台に向かって先に歩き始めました。

男子全員で記念撮影

帰りは疲れ切ってしまったのか、電車の中でグッスリ寝てしまう人がほとんどでした。

いちご狩りを一緒に体験するだけではなく、みんなで一緒に歩いて同じものを見たり、冗談を言い合いながら笑ったりということが、「一緒に生きている」ということを実感させてくれるのだと改めて感じ、こんな時間を多く持てる様に工夫していかなければと思いました。

 

吉田 由紀子

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