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“われもこう”の想い その17「歩くことの大切さ」

われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい

令和3年3月3日 その17「歩くことの大切さ」

コロナ禍で、ステイホームが叫ばれ、今回は2回目の緊急事態宣言が出され、あかねの会でも、電車で通所しなければならない人たちは、自宅や寮での自粛をお願いしました。

去年の1回目の緊急事態宣言の時も、電車で来なければならない人たちは自宅や寮での待機をお願いしましたが、寮の方へは、支援員が手分けして見守りに入り、適度な運動をということで散歩に行ったりしてもらいましたが、余程意識して運動しないと殆どの人たちは体重が増えてきました。そこで、7〜8キロの距離までなら、歩いて通所を呼びかけ、往復歩いて通ってもらった所、半年で88㎏あった体重が50kgに減り、本人も周りもビックリしました人もいました。体重が減ったおかげで、動きが良くなり、仕事でも動きが速くなったと褒められるようになり、本人の笑顔も増えました。

そこまでの効果はまだ出ないものの、歩いたお陰で体重が減少傾向に転じた利用者が殆どです。でも、なかなか体重の減らない利用者もいたので、歩き方に問題があるのでは?と思い、ウォーキングに誘って一緒に歩いてみました。そうしたら、やっぱり、姿勢が悪い、手を振っていない、歩幅も狭い、歩くスピードも遅い、下を向いてトボトボという歩き方をしていました。

まず、私の歩き方を示し、私のスピードについて歩いてもらいました。「歩こう、歩こう、私は元気、歩くの大好き どんどんいこう」と歌いながら歩きました。でも、適時立ち止まって川を覗き込んでカモを見たり、川の流れや草の様子にも気がついてもらうよう声をかけました。自然への気づきも少なく、その分感動もないようでした。川の中には白鷺やカワセミもいて感動です。動きの少ない鴨が太っているのを見て、デブ鴨にならない様に歩こうと言うと、彼らは笑顔で答えてくれ、腕を振って歩き始めます。

ウォーキングに参加する人数が少しずつ増え、又、いろいろな所に行くのを楽しみにしてくれるようになりました。最初は、石神井川に沿って歩きながら、武蔵関公園まで行きました。武蔵関公園から、石神井川の源泉である小金井公園まで歩いてみました。段々、川が細くなり、水の量も減っていく様子がよく分かりました。石神井川上流点という表示のある所は、水一滴ありませんでした。雨が降らないと川にならないことがよくわかりました。

「お山に雨が降りました。あとからあとからふってきて、チョロチョロ小川ができました」歌ってみて、歌の通りだねと納得してもらいました。その後のお風呂の王様がとっても気に入ったようなので、ウォーキングの後は温泉に行こうということになりました。

その次の月は、白子川の源泉地である井頭公園から新河岸川まで、大泉学園の駅から井の頭公園、神田川等、いろいろな場所を歩いています。楽しく歩いていくうちに、なかなか体重が減らなかった人たちも、数㎏ずつ体重が減ってきました。又、毎日できるだけ歩くという意識が育つようにと、ねりまちてくてくのアプリの活用も始めてもらいました。BMI25以上の肥満傾向にあったひとたちが、BMI22の理想に近づきつつあります。

何より「歩くことが楽しい」と思って、彼ら自身が歩こうという気持ちになってくれたことが、私の喜びになっています。
人類は、森での樹上生活から、二足歩行で、アフリカのサバンナを歩く様になり、出アフリカと言われて数万年前から地球上のあらゆる場所に移動して、今や70億を越す人口になり、正に生物の頂点に立っています。ここに至るための能力は、歩くこと、二足歩行で支えることで1400ccの大脳を持ったことによると言われています。100年前から、日本でも鉄道が敷かれ、車社会になり、乗り物を使うこと、甘い物、柔らかい物を当たり前に食べる様になってきました。ヒトの進化が、この100年の変化に追いつかず、アフリカのサバンナ生活に適応する体のままなので、現代病なるものが出てきてしまったと、進化人類学では言われているそうです。

広いサバンナでは、朝、目が覚めると食べ物を探して歩き回り、食べ物にありついて休憩したら、又、次の食べ物を求めて広いサバンナを歩き回るという生活だったのでしょう。
人にとって、一日の歩行数8000〜10000歩が適切で歩きすぎてはいけないということを主張する論も出てきていますが、何が、本当にヒトにとって理想のあり方なのか?個体差にもよるでしょうし、そう簡単にこれが正しいと言えるでしょうか?
私は少なくとも、2〜3万歩歩く様になってから、快食、快眠、快便になりました。仕事上いろいろな案件があり、ストレスが溜まりそうな仕事をしていると言われますが、心も元気で前向き思考がかなり定着して、「失敗して良かったね」と自分にも人にも言って過ごすことが増えました。

人によっても体力差があるので、自分で納得し、自分に合った健康法を取り入れ、元気で周りの人たちに笑顔で向き合い続ける様になりたいと小さなわれもこうは願っています。

吉田 由紀子

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