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“われもこう”の想い その81「誕生日プレゼント」

われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい

令和6年1月10日 その81「誕生日プレゼント」

年末にK君が、朝、突然、われもこうビル6階の私の所にやって来て、「僕の作ったプレゼントです。」と、段ボールで作ったバラの花一輪を私に差し出してくれました。
「僕が作りました。ダンボールのキットがあって難しかったけど、少し失敗もしたけど、作りました。」と差し出してくれたのです。

 

 

 

 

 

 

手紙も添えてあり、その文言を読んで、思わず私の目頭が熱くなりました。

吉田由紀子さんへ
誕生日おめでとうございます。
仕事もいいですけど一番ですが、仕事よりも自分の身体の事も、大事にしてください。
Kより

私の誕生日は1月2日なので、年末の休みに入ると、渡すチャンスが無いと思ったのでしょう。
そして、「この冬休みには、山手線を歩いて一周してみようと思う」とK君は私に言って、9時の就労に間に合う様、2階に帰って行きました。

K君は、約10年前に他区の福祉事務所から依頼を受け、あかねの会のグループホームに入所し、就労移行支援で就職を目指しました。とても遠方の〇県から、10代後半に家出をして東京にやってきたという経歴の持ち主です。知的障害の程度は軽度で、自立心もあるのですが、ADHDの診断もあり、問題行動をたくさん抱えていました。グループホームの支援員が、寮に行って、お金の使い方や生活の仕方についていろいろアドバイスしても、反抗的で、なかなか言うことは聞いてくれないなど、支援側にとっては苦労が多かったです。就職のための実習に行っても、仕事はなかなか続かず、就職に結びつくことは難しかったです。
いくつかの実習を経て、今は就労継続支援A型のあかねっこ弁当(以下A型)で働いています。遅刻や無断欠勤も大分減り、今年やっとA型の雇用に結びつきました。

彼の想いに寄り添うことの大切さを、反抗的であった頃からの関わり方を見て感じました。何かの度に、相談に来た時に、彼の想いに寄り添うことを意識して話しを聞く様にしました。
それでも、問題行動を起こしてしまった時には、きちんと対応しなければならないこともあり、彼自身、自分が悪いとわかっていても、素直に謝れずの繰り返しでした。
〇県の実家に帰ってみたいと相談を受けて、現地の福祉事務所に連絡を取ってみた所、虐待案件で相談があったケースとわかり、〇県の方でも帰さないでほしい、もし、戻ってくるなら誰かが付いて来るように言われてしまいました。
本人もその話しを聞いて、〇県に帰ることを諦めました。彼自身、今後共、東京で暮らしていくことを改めて考えた様です。
その後も、いろいろありましたが、この一年間は、精神的にも落ち着いてきて、A型の雇用利用者になることができ、自分の人生に対しても前向きに考える様になってきました。

更に、年末年始のグループホームの旅行前に、「今回は自分はお正月旅行に参加しないけど、歩いて行ってみたい所がある」と言って来ました。
お正月明け、彼から連絡が来ました。メールに添え、自分の歩いて見た景色の写真もたくさんメールして来てくれました。

お疲れ様です。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

1/1日は、朝の9時から歩いてさいたま新都心駅まで行きました。行こうと思ったんですけど、終電の事も考えて帰りました。

1/1日は、9:00〜20:00分
41,117歩です。
1/2日は、12:00〜22:30分
53,098歩です。

ホントでしたら。
出来れば目標は75,000歩目指したかったんですけど、
2日出る時間がお昼だったので目標までは行けませんでした。

携帯のアプリを見ながら、歩いたとのことで、彼のいろいろ操作できる力もですが、自分の決めたことをやり切る意思の強さも育って来たと感心しました。
彼の支援を通して、荒れ狂う魂に振り回されることが多かったのですが、「荒れ狂う魂の中の本来の姿」を信じて、諦めずに支援していこうという気持ちを新たにしました。

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