われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい
令和3年8月8日 その24「スペシャルあかねっこコンサート」
8月8日 日曜日、光が丘のIMAホールであかねの会主催のスペシャルあかねっこコンサートを行いました。
7月から、コロナ新規感染者数が増え続ける中で、コンサートを実施するかどうか、かなり悩みました。外部の一般の方はお客さんとして呼ばず、あかねの会の関係者だけの入場にするということにして、実施しようと決めた思いの背景には、コロナ禍で、余暇の機会を失われ、元気をなくしていく彼らの姿がありました。仕事も在宅勤務という名目で働く場を失ってしまった人たちもいました。
本来は、10数年続けていた音楽交流フェスタのために、IMAホールを借りていましたが、参加団体がコロナのために練習できないという理由で、去年は、実施できずキャンセルしました。今年も同じ理由で実施できない状況になりましたが、定員の半数の入場なら実施できるという状況のため、今年はキャンセル料が返ってこないということで、それなら、折角の舞台で、あかねっこ達の演奏体験を持ってもらおうと、スペシャルあかねっこコンサートを企画しました。
準備期間がないため、個人で楽器や歌を普段からやっている人たちの演奏に絞らせてもらいました。あかねの会の馴染みのある合唱は、密を避けるため、今回は残念ですがなしにしました。
知的障害があっても、オカリナ、コルネット、クラリネット、フルート、バイオリン、ピアノなど様々な楽器に取り組んでいるんだなと改めて感心しました。
普段はミスなく演奏できているのに、本番でお客様を前にして緊張してしまい、ピアノの伴奏も耳に入らなくなってしまったのか、ピアノに合わなくなったり、ミスをしてしまう人がいました。でも、それも含めて大事な経験になったのだと感じました。
今回、ひだまりのスピーチクラブの人たちに司会進行をしてもらいました。練習の機会がない中、一度だけ集まってもらって、担当を決め、練習しました。当日の午前中、練習しただけで本番を迎えましたが、予測以上の落ち着きでこなしてくれ、びっくりしました。やり終えたという思いが強かったのか、「今日のできは?」と聞くと、「99点」という答え❗️
発音などの課題が見つかった人たちもいましたが、「また、やりたい」という前向きな気持ちでみんなキラキラしていました。
是非、今後もこんな機会を増やして、障害があっても、自信を持って生きていってほしいと思いました。
あと音楽を聴いて気持ちが落ち着いていく、不安から解放されていく、音楽と共に、笑顔が溢れ、自然に体が動いていく、そんな彼らを見ていると、本当に音楽の大切さ、生きていく上で必要なものとして感じられます。
コロナ禍においては、音楽は不要不急なものとして片付けられ勝ちですが、本当にそうでしょうか?
人類にとっての音楽を考察してみると、言葉よりも早い時期に発生したと言われています。
仲間に何かを知らせるためのサインとしての音声を出したり、ホラ貝を吹いたり、石を叩いて音を出したり、原初はそんなことから音楽は始まったのではないでしょうか?
人類は、いろいろな道具を発明してきましたが、楽器もいろいろ考案されました。弦を張って音を出すことから、琴やバイオリン、コントラバスなどを作りました。
そして、自分の心の思いを楽器に乗せて、相手に伝えようとしてきました。
知的障害があっても、この音楽の持つ思いを、しっかり受け止める力を持っていると、N君に出会って強く感じさせられました。
N君は、感情コントロールが上手にできず、怒りを治めることができず家の中にある物に当たり散らしてしまいます。でも、愛の挨拶を聞くと、少しずつ落ち着いていけます。われもこうの歌も落ち着くと言います。最近、私のほうから「タイスの瞑想曲」を弾いて聴いてもらいました。これもとても落ち着くと言ってくれました。
でも、まだまだ、自分の気持ちのコントロールができず、夏休み中、つくば山にある施設のショートステイに入っています。私の弾く愛の挨拶、タイスの瞑想曲が、つくば山まで届くようにという気持ちで、コンサート当日はピアノを弾きました。
この音楽を聴きながら、いつかN君が、自分の気持ちをコントロールして、家族と仲良く暮らし、働けるようになり、誰かのために、何かの役に立つ人になって生きていってほしいと祈るような気持ちで弾きました。又、明日からも、みんなが、われもこうのように生きていってほしいと祈りながら、毎日ピアノを弾き続けようと決意を新たにしました。私にとっての音楽は、私の想いを伝える大切な生きる上での活動であると思います。
ベートーヴェンの言葉
音楽は心から生まれ、願わくば再び心に至らんことを
ベートーヴェンのこの言葉は、音楽というものを通して、自分の心を他人に伝えようとしたということを表したものと言われています。
吉田 由紀子