われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい
令和7年10月2日 その116「ガイドヘルパーとして働く」
あかねの会には、会の事業の利用者が620人ほどいます。
その中で企業就労している人が10分の一程います。
大抵が5~6時間勤務程度ですが、5年勤続を超えて、一年更新の不安定な雇用ではなくなり、安定した雇用につながっている人も、最近は増えてきています。
最低賃金が上がったと言っても、1日5時間勤務程度だと月10万円程度の収入です。障害基礎年金をもらえている人の場合には、グループホームに入寮して、その諸費用を引いても、少し余裕があり、10年以上働くと、貯金もかなりでき、働けなくなった場合や老後に対しても、まずまずの見通しが持てます。
親亡き後の生活を考えると、まだまだ不安はありますが、ひと昔前の日本の状況から見れば、福祉国家として成長してきていると感じます。
でも、障がいがあるから、最低限の生活が保障されればいいということではなく、彼らだって、休日には、映画も見たいし、カラオケも行きたい、見たことのない物を見に行きたいだろうし、友だちと一緒に行ったことのない所にも行ってみたいだろうと思います。
それが、生きていることの喜びになるからです。
その楽しむためのお金も無いと、最低限の生活で我慢せざる得ません。
又、「生き甲斐」とは?と考えた時、自分が楽しむだけでなく、誰かの役に立てたと思える時の「生き甲斐」は、とても大きいです。
数年前から、そんな彼らの中から、ガイドヘルパーの資格を取り、ガイドヘルパーとして働き始めた人がいます。
資格を取れそうな人に受講を勧め、今まで5人の人が資格を取りました。その内、3人が本業にゆとりのある時に、時々、ガイドヘルパーの仕事をしています。
一番、直近に資格を取ったCさんは、週末、目黒の実家に帰るKさんを練馬のグループホームから送迎することと、平日に生活介護事業所みのりからグループホームまで、ご家族の「歩かせたい」というご希望に沿って、送迎をしています。
Cさんもグループホームに入所していますが、送迎をした日は、18,000歩ほど歩いているそうです。
そのおかげで、少々太り気味だった体型でしたが、ガイドヘルパーを始めてから、20kgほど減量できました。
「誰かのために役にたつ仕事をして、痩せられるなんて」と、本人は、この仕事に感謝しています。
自分のしていることが、誰かの役に立っているということが、自分の生き甲斐につながっていることを実感している姿に接して、障がいがあるから、誰かに面倒をみてもらうのが当たり前ではなく、自分のできることで、誰かの役にたつ生き方ができるのだということを、本人が証明してくれていると感じました。
以下は第28回心の鐘コンサート(令和7年11月28日 練馬文化センター大ホール)での曲紹介の文章です。
僕は東京大学で清掃の仕事をしています。
東京都立練馬特別支援学校を卒業して、この仕事について今年で11年目になります。
清掃の仕事はとても楽しいですが、気を付けなくてはいけないこともあり大変です。
最近、仕事で気を付けている事は、自在ぼうきでごみを掃く時は残さず掃く事や、物を壊さないようにすることや、掃除道具の点検を漏れなくすることや、モップで床のシミを残さないようにすることです。
きれいにできていると言われると とても嬉しいです。大学に通ってきている人たちが気持ち良く過ごしてもらうために、もっときれいにしたいと思います。
お昼ごはんも楽しみです。仕事を始めてから毎朝、自分でお昼ごはんのお弁当を作って持って行っています。
お給料は自分のお昼ごはんや服に使っています。
家族とどこかに出かけるときは旅行代金も出しています。これからも、お給料をもらったら家族を旅行に連れて行きたいです。
仕事で「きれいにできたね」と言われたり、家族から「旅行に連れて来てくれてありがとう」と言われると、とてもうれししいです。
ぼくも 何かの役に立っている、誰かのための役に立っていると思うと とてもうれしいです。
これからも仕事を続けて、われもこうのように誰かの役に立ちながら、生きていきたいです。
私は 今年の4月から、あかねの会音楽クラブに入りました。
初めての舞台なので、とてもきんちょうします。
今から『にじいろ』を歌います。この曲は連続テレビ小説『花子とアン』の主題歌です。最初、聴いた時に すごくいい曲だと思いました。何度も何度もいっぱい練習をしました。とても楽しい曲になっています。
知っているかたも、知らないかたも たくさんいると思いますが、私が感じた この歌の一番、大事なポイントは「なくしたものを数えて ひとみ閉ざすよりも あるものを数えた方が ひとみ輝きだす」だと思います。
障がいがあるから計算ができないとか、漢字がよめないからと なげくよりも、自分のできることを 大切にして 誰かの役に立つ仕事をした方がとってもうれしいです。私のできることで、誰かの役に立つ仕事を、これからも続けていきたいと思います。
今まで、私は全然ダメなときもあり、おちこんでしまうことも多かったです。それでも仕事をがんばりました。音楽クラブにも月に2回来て、一生けんめい練習をしました。この『にじいろ』の歌を聞いて、「ないもの」や「できない」ことでおちこまないで「自分にあるもの」「自分にできること」で誰かの役に立って生きていきたいと思います。