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“われもこう”の想い その25「MOSの資格を取れた!」

われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい

令和3年9月6日 その25「MOSの資格を取れた!」

T君は、小学校3年生の時に、お母さんが病気で亡くなり、親戚の家に預けられましたが、新しい環境に馴染めず、学校に行けなくなりました。18歳まで不登校で、集団の中で過ごすこともなく、預けられたお母さんのお兄さんの家の一室で閉じこもっていましたが、流石に、おじさんも心配になり、18歳になった時に私の所に連れてこられました。

最初は、それでも、毎日、通所する気持ちになれなかったようでしたが、10年前の東日本大震災が起きた時に、気持ちが大きく動いたのか、あかねの会の就労支援室に通うようになりました。

そこから、大手の会社の特例子会社に就職できたのですが、5年たったところで、辞めてきてしまいました。障がいのある人たちの、行動が気になり、どうしても一緒に働く気になれなかったようでした。

これから、どうやって生きていけば良いのか?なかなか自分でもわからず、モヤモヤしていました。

丁度、練馬区役所の障がい者枠の募集があったので、やりたいことが決まっていないなら、取り敢えず、区役所の仕事をしながら、今後のことを考えたら?と持ちかけてみました。他にやりたいということもなかったようで、区役所の仕事をすることになりました。

 

 

危機管理課に配属され、丁度、台風19号がきた時、職員さんが、区民のために夜中まで、必死で働いている姿に感動して、自分の仕事が区民のためになっていると強く感じたようです。

更に、次の働く場所のステップアップにつなげるために、パソコンの技術を上げようという気持ちになっていきました。

パソコンの資格があることを伝え、MOSの資格に挑戦することになりました。
やるべき目標が決まるということは、こんなに大きな力を生むのかと驚きました。それまで、毎晩楽しみにしていたアルコールも断ち、勉強に取り組むようになりました。

昨年、初めて、MOS(注)のExcelを受け、見事に合格しました。

自分からなかなか、自分のことを話さないタイプなのですが、この時は、グループホームの代泊の人にも、合格証を自分から見せにきたと聞き驚きました。
今年のあかねの会の発表会で、同時に合格したOさんと一緒に舞台の上で合格証と共に、合格の報告をし、今後の目標も発表しました。

そして、今年、Wordに挑戦することになり、試験日が決まって、コロナのワクチンを打つ次の日とわかり、試験中具合が悪くなったら困ると思って、試験のためにワクチン接種の日を伸ばしたいと言ってきました。すごい決意だと驚きました。

このWordも見事に合格!

つぎは、PowerPointに挑戦したいと張り切っています。

小学生の頃にお母さんを亡くし、長いトンネルに入っていたT君ですが、自分のやるべき物を見つけ、資格を取ることで自信をつけ、トンネルの出口が近づいたと感じています。

身近で応援し見守ってくれる人が幼い頃からいない、そんなT君でも、自分のできることがみつかり、今後の人生でやってみたいという物を持つことができるように支援していくことの大切さを、T君に出会って感じました。

障がいの程度、質、家庭の背景によって、様々な支援を考えて用意し取り組んでいくことの大切さがわかりました。今回は、パソコンに強い職員がいたので、今回は、その職員に任せきりで、試験会場にも付いて行ってもらいました。数年前には、ヘルパー二級の資格を取るお手伝いをしたケースもありました。その彼女は、その資格を生かして老人ホームで今働いています。

軽度の方には、その人なりの特性ややりたいことを見つけ、その方面の資格取得のお手伝いもして、就職に結びつけていく必要があり、支援する側の多様な知識、能力も必要となります。多様な人材を抱える必要性も感じています。

 

(注)MOSとは?
Mーマイクロソフト Oーオフィス Sースペシャリストの事。
マイクロソフト オフィスのエクセルやワードなどの使用スキルを証明する国際資格です。
詳細は下記リンクから。
https://mos.odyssey-com.co.jp/about/

吉田 由紀子

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