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“われもこう”の想い その89「努力の積み上げで、作品ができあがります」

われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい

令和6年6月6日 その89「努力の積み上げで、作品ができあがります」

あかねの会では、就労支援室の日中活動として、スウェーデン刺しゅうに取り組んでいました。吉田が学校に勤務していた頃から始めたものですが、「集中力」「持続力」を養う上で、とても有効な教材だと思っていました。
ところが、卒業後、一旦、就労しても長続きせず、解雇されたり、自分から辞めてきたりしてしまった人たちに、新たにスウェーデン刺しゅうを教えるのは、なかなか大変なことでした。


スウェーデン刺しゅうの生地

スウェーデン刺しゅうの生地は、3本の縦糸が一目になっているのですが、その3本を針ですくうことが難しい人がいます。又、布が薄いので、縦糸ではなく、布ごとすくってしまい、糸が布の裏に出てしまう人もいます。やり直しをしながら刺しゅうがきれいに刺せた物をポーチやサイフなどに、職員が仕上げ縫いをしていきます。

細かい目が見えない人もいるので、さをり織りも取り入れて、その人にできる仕事を提供できるようにしていますが、練習段階で、作品にできない刺しゅうを刺した布も沢山たまってしまいます。

刺しゅうの柄が前後でずれているもの

布の端の糸を抜いてしまい幅が狭くなり、製品化できないもの

模様を端まで刺せていないもの

ダンボール何箱分かになってしまいました。
その不完全品の布を何かに活用できないかと考えました。
目黒就労支援室のグランドピアノのカバーが古くなり、布から出る細かい布片がピアノに入ってしまうので、何とかしなければと思っていました。
そこで作品にできない刺繍作品を繋いで、ピアノカバーを作ってみたら?と思い、早速、支援員がミシンを縫える利用者の人たちにもミシンがけをしてもらい、ピアノカバーが完成しました。

 

とても、刺しゅうが不完全で、製品にならない布で作ったとは思えない見事なカバーが完成しました。
あかねの会には、光が丘カフェレストランや、就労支援室、余暇活動場所にもピアノが置いてあります。
この第一作目の出来栄えに、他のピアノのカバーも作ってもらおうと考え始めました。
勿論、きちんと刺しゅうされた生地で作ったポーチやサイフ、カバンなどは根強い人気で、販売会で売れています。

でも、完全に刺せるようになるまでの過程での刺しゅう生地で作られた作品も、彼らの努力のあとを教えてくれる大切な物だと教えてくれました。無駄な物は何もないのだと、改めて感じさせてくれました。
是非、皆さんも、刺しゅう作品を手に取り、一目一目の彼らの努力の跡を感じ取ってみて下さい。

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