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“われもこう”の想い その39「母の日にカーネーションを」

われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい

令和4年4月26日 その39「母の日にカーネーションを」

生活介護事業所みのりは、3年前、B型事業所での仕事がきつくなり、午後になると机にもたれて寝てしまう利用者を見て、体力的にキツくなった彼らが笑顔でゆったり過ごす場所を作りたいという思いから、生まれました。生活介護事業所としてスタートしましたが、殆ど全員がB型事業所からの移籍で、障害区分としては軽度の人が多い状態でした。

でも年齢的には殆どの人が50歳を超えており、体力的には衰え、一部介護も必要な状態の人もいました。今まで働いていたというプライドは高く、午前中は軽作業を取り入れ、「働く生活介護」と位置づけ、運営しています。とはいえ、健康上の見守りは必要で、毎朝、看護師によるバイタルチェックを行い、体力に応じた散歩やトレーニングは毎日行います。50代を過ぎたダウン症の方が、外反母趾の部分が靴で擦れ、蜂窩織炎を起こしてしまい、毎日、病院に通わなければならないということもありました。

本人が痛みを訴えないので、発見が遅ければ足を切断しなければならないという事態だったかもしれないということでした。かつてない高齢社会を迎え、ダウン症の方が高齢になり、どんな状況になるのかという前例もない中、暗中模索しながら対処しています。そんなことがありながらも、毎日、集まって来た仲間たちと笑ったり、時には喧嘩してふくれっ面になったりしながら過ごしています。B型でやっていた刺しゅうや、さをり織りは大好きで、殆どの人たちが取り組んでいます。

彼らの織ったさをり織りの生地でメガネケースを作り、バザーなどで販売していますが、とても好評で、他区の販売会でもよく売れているそうです。

そのメガネケースを作った後の残りの布を使って、花を造ることを支援員が思いつき、彼らもその製造工程に携わり、こんな花ができあがりビックリです。

 

最初にバラの花束が出来上がり、その完成度にビックリしました。母の日も近いので、カーネーションを作ってほしいと頼むとすぐ出来上がって来ました。

発達支援室に通っている子供たちや、地域の子どもたちに、是非、母の日に自分なりのメッセージを添えてこの花を贈ってほしいと思いました。一段ずつ、丁寧に織り上げたさをり織りの生地の、製品を作った残布が、こんなにも素敵な物に生き返る!この世の中に、いらない物、捨てるものはない!と改めて感じさせてくれました。
今後も、季節折々の花を作っていってほしいと思い、製品会議で「さをりの花屋さん」シリーズで行こうと話し合いました。

彼らの織ったさをり織りの花が季節ごとに、この街を彩ると思うとワクワクします。

 

吉田 由紀子

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