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“われもこう”の想い その54「第25回心の鐘コンサート」

われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい

令和4年12月1日 その54「第25回心の鐘コンサート」

第25回心の鐘コンサートが11月18日、なかのZERO大ホールで無事に終わりました。
ここの所、都内の新規感染者が増え続け、どうなることかと心配する中、無事に開催できました。
地元練馬文化センターで行う時よりも若干お客様が少なかったですが、程良く密にならずに入場して頂けた感じでした。
使い勝手がわからず、慣れない所もありましたが、大きなトラブルもなく、リハーサルから本番、片付けまでスムーズに行えました。
今年のテーマ「心をひとつに〜笑顔を広げよう~」に合わせて、新曲「笑顔の輪」も披露しました。練習期間も短く、直前の部分変更にも関わらず、メンバー達はよく歌いこなしてくれました。

来場されたお客様からのアンケートにも、「だんだん、歌が上手になってきた」と書いてくださる方が何人もいらして、嬉しい限りです。
何と言っても、今回は「われもこう」と「笑顔の輪」を作曲してくださった、みながわちかこさんをゲストにお呼びでき、ピアノ伴奏して頂き、澤田理絵さんの独唱を聴くことができました。

曲もみんなが楽しめる曲を考え抜いて選曲してくださったなと感じるものばかりで、本当に最後の「フニクリ フニクラ」まで楽しめました。
三部では、あかねの会のメンバーも加わり、「われもこう」と「ふるさと」の合唱を行いました。まだ、コロナ禍なので、会場の皆さんと歌うことはできませんでしたが、会場との一体感を感じる場面でした。
毎年のように、一曲ずつ歌う前に、曲紹介を行っていましたが、今年は、メンバー一人ひとりが、自分で考えたことを発表してくれました。彼らのことをよく知っているつもりでいた私が、「えっ、そんな風に感じていたの?」と驚く様なことを自己開示してくれる文でした。


メンバーの一人の発表を紹介します。

私は株式会社吉野家ホールディングスで働いています。場所は新宿南口にあります。働いて4年半くらいたちました。
毎日、沢山のお客様が来店し、コロナ禍で持ち帰りの注文も多く、忙しいですが充実して、仕事をがんばっています。
でも、新型コロナが日本でばくはつ的に広まってしまい、そのえいきょうに私もまきこまれてしまい、仕事の時間も以前の半分位になり、さらに仕事の曜日も土・日・祝は全て休みとなってしまい、きゅうりょうも半分位までへってしまいました。
仕事のないつらさを本当に実感しました。おきゅうりょうがへるのはこまるし、かなしいけど、自分が必要とされていないのか?と感じたことの方が大きかったです。私のやっている仕事がだれかのために何かの役に立てているという気持ちになれることの大切さをすごく感じました。われもこうのようにだれかのために何かの役に立ちたいと思います。その『われもこう』の歌を今から歌います。おききください。

コロナ禍での仕事が減ったことを、「お給料が減った」こと以上に、「自分が必要とされていないのではないか」と感じたことを書いてきて見せてくれた時に、彼女の成長を感じました。そして、障がいの有る無しを超えて、みんなが共感してくれる内容だと思いました。
私は、彼女が中学生の時に3年間担任し、卒業後もあかねの会でずっと関わり続けています。彼女の良いところも、欠点も知り抜いているので、私が注意すると、「先生には中学の時からお世話になってますから」と苦笑いをします。
卒業後、20年経ちました。本当に、本当に成長したなと、今回、この彼女が書いてきた文章を初めて読んだ時に感じました。
最初に働いたスーパーでは、朝なかなか起きられず、遅刻の連続で解雇され、グループホームに入って、睡眠の様子から、睡眠時無呼吸症候群がわかり、治療を始めましたが、就寝前の機械の装着がなかなか自立できず、マウスピースに替えたり、いろいろ試行錯誤しました。そして、朝早く出勤しなくて済む「吉野家」の仕事に就き、朝一旦、あかねの会の就労支援室に来て、間に合う時刻に出勤するようにしてから、会社への遅刻もなくなりました。安定して就労が続いています。

そして、体力が続かなくなったら、事務職への転職も考えて、パソコンを教えて資格を取りましたが、彼女は、今の吉野家の仕事が大好きなようで、ずっと続けたいと言っています。

一人ひとり、いろいろな障がい特性を持ちながらも、何年もかけて改善し、一般就労し、そしてその仕事にやり甲斐を感じて生きている〜障がいが重いからとか、ADHDで落ち着かないから、就労は無理と決めてかからないで、諦めずに取り組むことを、彼らから教わってきたなと感じています。
そして、休みの日には、仲間と一緒に大好きな歌を歌ったり、年に一回のこんなコンサートを楽しみに練習に励んだりと、これからも充実して生きていってほしいと願っています。

吉田 由紀子

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