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“われもこう”の想い その33「新年を迎えて ~早速の大雪~」

われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい

令和4年1月12日 その33「新年を迎えて ~早速の大雪~」

新年あけましておめでとうございます。

毎年ですが、今年も年末の31日からグループホームの人たち28人と共に過ごしました。一月一日から、時間が間に合うようにみんなを起こし、朝食を済ませてバスに乗って出かけるという過ごし方をしていたので、あまりゆっくりしたお正月ではありませんが、今年もみんなと一緒に新年を楽しく迎えられました。

グループホームの正月旅行については、われもこうの想い34で、詳しくお伝えしますが、正月旅行を思い出す出来事がありました。前日から覚悟はしていたものの、7日の朝、起きてみたら予測されていた以上の大雪で、朝8時にわれもこうビルに着いたら、既に数人の職員に混じって、A型の利用者のSさんが雪かきをしていました。聞くと、7時半に来て一人で雪かきを始めてくれていたそうです。

あとから来た職員や、同じくA型の利用者の人たちも加わり、それぞれ、他の人たちの動きを見て、雪かきをしたり、水を汲んできて流したりと手伝ってくれています。その都度、「ありがとう」と声をかけると、気持ちよく笑顔を返してくれ、黙々とまた働いています。まさに、グループホームの正月旅行の時の食事の準備を手伝ってくれていた雰囲気でした。とても、清々しい気持ちに私もなり、手先と足先が冷たくて、凍えそうになりながらも、気持ちは暖かく、私も水を運んだり、デッキブラシで入り口付近の雪を掻いたりしました。後から来て加わってくれるメンバーも自然に自分の仕事を見つけて動いたり、指示されるとさっと動いてくれて、本当に気持ち良かったです。

こんな仲間達にあかねの会は支えられているのだと本当に嬉しくなりました。

B型の利用者は、雪が溶けてお昼頃までにゆっくり登所するよう前日に連絡しておいたのですが、B型のKさんが8時半に到着しました。彼は、染色体異常もあり、筋力も弱いので、雪道で転ばないようにゆっくり来るように、わざわざ、グループホームの支援員に伝えてあったのに、8時半に到着してしまいました。まず転ばずに来られて良かったと思いましたが、無事到着したのだから、みんなと一緒に手伝ってくれる?と聞くと、うなずいて荷物を置いてきて、バケツに水を汲んで雪道を掃いているところまで歩いていき、水を流してくれました。何回も行ったり来たりしてくれました。

やっと、一段落ついたかなと思って時計を見たら10時近くなっていました。Kさんは、1時間半もずっと手伝ってくれていたことになります。障害特性から、こんなに働けると思っていなかったので、本当に驚きました。

「ありがとう」と改めて心から声をかけたら、ニコッと嬉しそうに、それ以上に、誇らし気な顔をしていました。

彼らを見ていると、仲間の動きにつられて、自分も同じ仲間として働いていくうちに、誰かのために、何かの役に立つことを自分がしていることを誇らしく思うようになっていくのだなぁとつくづく感じます。こうやって、彼らは「われもこう」のように育っていくのだと確信させてくれます。

翌日、他の事業所に向かって歩き出してみて、われもこうビルの前がとても歩きやすいことに改めて気付かされました。毎年、われもこうビルの前だけでなく、隣のマンションの前まで雪かきをしているので、この区間はとても歩きやすいです。春日町の駅の方まで歩いていて、それぞれの家の前の道路がつながって、皆の通る道路になっているということに、改めて気付かされました。

自分の家の前の道路は、皆の利用する道路の一部であること、ある家が雪かきをしていないと、その部分を歩く時は、とても滑りやすくて、気持ちが縮みます。一昔前なら、我が家も、公共の一つという気持ちで雪かきをしていたのだろうなと、江戸時代の五人組などの制度の生まれた必要性や大切さに思いが至りました。

今は、そういう意味でも、地域の人たちのつながりが薄くなっている気がします。雪かきをしている所を「ありがとう」と言って通る人に対して、全く知らない人なのに、自然に「気をつけてください」と声かけをする自分に、人のつながりが作られていく大切な過程を考えさせられました。

私たちと共にこの地域で暮らす人たちをよく知らなくても、その人たちの幸せを考え、共に助け合い、笑顔ですれ違う生活をしていくうちに、障がい者を特別視したり、異様に見られることも少なくなっていくのではないかと、われもこうは小さな期待を胸に灯しています。

吉田 由紀子

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