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“われもこう”の想い その16「野菜スープコンクール」

われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい

令和3年2月17日 その16「野菜スープコンクール」

今年もお正月が過ぎてあっという間に2月に入り寒さが身にしみる頃になりました。そんな肌寒い朝、私は、あかねっこが作った野菜スープを食べながら(飲みながらではありません。それほど具が多いのです。)今日一日の予定を頭の中で反芻し、一日のスタートを切ります。

あかねの会では、食品関係で、最初サブレや野菜ケーキだけを作って販売していました。しかし、消費期限が1〜2週間で切れてしまい、廃棄しなければならないことが多く、残念な気持ちでいっぱいでした。何とか長持ちして、しかも彼らの野菜不足になりがちな食生活を改善できるものはないかと考えました。さらに、大災害時に役立つ食材をあかねっこ達が製造し、地域の皆さんの命を守ることに繋がるとしたら、とてもやり甲斐のある仕事になります。支援会議で何度も試作品を飲みながら検討して、野菜を手軽にいつでもたくさん食べることができる乾燥野菜スープ「野菜たっぷりスープ」が完成しました。次の年には、第二弾として「まろやかきのこスープ」も作りました。

野菜スープの作り方としては、まず、就労支援室の利用者が、野菜を一つひとつピーラーで、薄く、小さくして、乾燥機のトレーに一枚ずつ並べ、物によりますが、数十時間かけて乾燥させます。そして、手順に従って、ナスは2枚、パプリカは3枚と袋に手作業で入れていきます。その袋を足踏みシーラーで閉じ、その小袋を更に大袋に入れたものが、店頭に並びます。

最初の頃は物珍しさもあってか、店頭に並べるとすぐ売り切れてしまいました。何とか機械化すれば、もっと大量に生産できるのにと、あれこれ考えました。野菜を一つ一つ手作業で入れるのではなく、回転式で、袋が真下に来たら、一定の量の野菜が自動で袋に落ちる工場方式まで考えました。

でも?原点に立ち帰って再度、考えました。何のために、あかねの会でスープ作りを始めたのか?
そもそもあかねの会の活動、製品製造は、障がいのある人たちの能力開発であり、彼らが時間をかけて作った物を地域の人たちに使って頂き、自分の作った物が誰かの役に立っているという生き甲斐を持ってもらうためです。

野菜スープが目の前で売れていくのを嬉しそうに見ている彼らの顔に、この野菜スープ作りを始めて良かったと感じた、気持ちを忘れてはいけないと思います。メンバーの中には、愛の手帳2度の知的には重度の人もいて、「ナス2本」を入れることが理解できません。

「1」までなら理解できるので、一個だけ入れる担当にしたり、別の人に、更に加えてもらうなど工夫して作業を組み、数の概念を育てていく機会にしています。数年続けるうちに、「2」までわかるようになった人、個別の言語指導を通して、10までの数なら、確実に任せることができるようになった人、この作業を通して成長の手応えを感じているのです。この商品を売って儲けることが第一目的ではなく、この作業を通して、彼らが成長していくこと、それが一番の目的なのです。それを忘れてはいけない!と改めて思いました。

去年からのコロナ感染対策で、バザーが行われなくなり、スープなどを一般の人たちに売る機会が減り、工賃の原資が減っていくことに不安はあります。それよりも、売れないために、たくさん作り過ぎてしまうことも、在庫を抱えて、賞味期限が切れるのも困ります。その結果、彼らのこの作業の時間を削らなければならなくなるということの方が、彼らの成長の機会を削られるという思いで、胸が痛いです。

でも、支援員さんたちの工夫で、この機会にいろいろな能力の開発を狙い、行事の飾り付けをしたり、紙でお金の勉強に使うお金を作ることで、ハサミの使い方の能力向上を図ろうと、逞しく、彼らの能力開発の取り組みを続けてくれています。

 

お金は儲かりませんが、今、ここで蓄えた力が、きっと、いつか、誰かのために役立つ力として発揮していけるだろうと信じると、とても嬉しくなります。
野菜スープは、一昨年の心の鐘コンサートで、第一回のレシピコンクールを行い、たくさんのユニークなアイディアを頂きました。去年のコンサートは、コロナ対策で、舞台上の表彰式も行えそうもないため、第二回目は、コンサートと切り離して行った所、周知されず、応募が殆どありませんでした。

仕切り直して、3月末締め切りで、第2回野菜スープレシピコンクールを開催します。ぜひ、皆様の斬新なアイディアを頂き、手軽に地域の皆様に野菜スープをいっぱい召し上がって頂きたいと思います。そして、彼らが製造に日々追われるようになってほしいと願っています。

たくさんのご応募お待ちしております。

第2回スープレシピコンクールの詳細はこちらをクリック

 

吉田 由紀子

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