NEWS

“われもこう”の想い その12「あかね染」

われもこうの花は小さい
だから誰も振り向かない
誰も気がつかない
でも、われもこうは
誰かのために 何かをしたいと
ずっと願ってる
私も、障がいのある彼らも
ただの人間
天使でも悪魔でもない
ただの人間
目立たない花だけど
力一杯咲き切りたい

令和2年11月19日 その12「あかね染」

草木染めには、練馬区の中学校の特別支援学級の頃から、作業の素材として取り組んでいました。藍染の絞り染めを初め、光が丘公園にみんなでタンポポを摘みに行き、タンポポ染をやってみたりしました。媒染によっては同じ染料でも、全く違う色に染まる楽しさがありました。何より、古来からの自然の恵みを生かして防虫効果や感染予防などの古人の知恵が煮詰まっています。

あかねの会を作った時も、その花よりもその根が夕陽のような色に茜く染まり、人々をいろいろなことから守ってくれるという意味に強く惹かれ命名しました。

今年は、社会学習クラブでコロナ感染予防のため、宿泊を実施しないことになり、去年も台風19号により、宿泊を中止して、2年連続の中止になり、利用者から残念がる声が聞こえてきました。去年、代々木のオリンピックセンターで宿泊の後、浅草で絞り染め体験をする予定だったので、今年も絞り染め体験をしたいと言う声が4月に多く寄せられました。

またもや、今年も宿泊ができないし、密を避けなければということで、浅草に出かけることは断念しました。その代わりにわれもこうビルで、少人数に分けて、あかね染をやることにしました。4回に分け、朝9時半から5時まで各回8〜9名で行いました。

まず、あかね染め、草木染めの説明からしましたが、日本では大昔から草や実、根っこを使って糸や生地を染めていました。聖徳太子の時代の冠位十二階の赤に、あかね染が使われていたと言われているので、1400年以上も昔からあかね染めは日本では行われていたということです。あかね染めは、浄血作用があり、身体を温める作用もあり、女性の腰巻きにあかね染は使われていたそうです。

あかねの名前は、根が赤く染まることから「あかね」と名付けられたこと、あかねの漢字が、どうして草冠に西と書くのか?あかね染めの色が、太陽が西に沈む時の色、夕焼け色であることなどを説明していくと、なるほどと納得してくれました。

輪ゴムや割り箸で挟んで、しぼり染めに挑戦しました。どうやったら、どんな模様になるのか予想がつきにくく、彼らは試行錯誤しながら、でも、大胆に挑戦していました。私が常識的にこんなことで綺麗に染まるのかな?と思ったものが、意外にも素敵な作品になりビックリするものも多かったです。

ですから、あまりこうした方がいいよとアドバイスせず、彼らのやりたいようにやってもらいました。一つとして同じ作品はありません。長いショールをだんごのように丸めて輪ゴムでグルグルとくくってしまった物はどうなるかと心配していたら、染めて広げてみたら、全体が花の模様のようにピンクと白が交互に綺麗に入り全体的で見事な柄に仕上がっていました。割り箸を使って染めた人たちの作品も綺麗な白い直線が入った模様に仕上がっていました。その直線の入り方も個性的で、控えめな人は控えめな線に、大胆な人ははっきりと強い線が出ていて、面白いなと思いました。輪ゴムのしめ方にも個性が出るのでしょうか?染液につけ、媒染を終えて絞りの輪ゴムや割り箸をはずして干すときのドキドキ感! どんなに染まっているかな? 染め物の醍醐味を充分感じ取ることができました。

何人かは、寮の世話人さんやお母さんにあげるんだと言いながら大きなショールに挑戦していました。その話を聞いて、ハンカチしか申し込んでなかった人が、自分のことしか考えてなかったと反省の言葉を口にする人もいました。仲間で一緒の活動をすると言うことは、こんな影響も与え合うのだと改めて、この活動を絶やしてはいけないと感じました。

絹や毛などの動物性素材の糸は、まさに茜色でオレンジ色に染まるのですが、木綿などの植物性の素材は、薄いピンクに染まります。朝からのグループの作品を室内に干し、2グループ、3グループと終わるたびに、その数が増えていき、室内がピンク色で明るくなって行きました。

あかね染めのマスクも先月から作ってみたら、予測以上のスピードで売れています。就労支援室の仕事として、あかね染めのマスク作りも定着するといいなと考えています。体に優しい、体を守ってくれる草木染めのマスクを就労支援室で作って、地域の皆様の健康を守るお手伝いができたらいいなと思っています。

あかねの会の各店舗で販売のほか、11月27日金曜日心の鐘コンサートでも販売を致します。

吉田 由紀子

PAGE TOP